ネコニャオ日記

かつて美人女医そして今は生活に疲れたアラフィフ女医✨内科医✨

私の人生を奪わないで!!!

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運転免許返納と自尊心の行方

先日、糖尿病の方でいきなりの低血糖発作を繰り返すという方の相談を受けました。

いわゆる「無症候性低血糖」ですね。インスリンを使用されている方でも良いコントロールが続いていれば問題ない場合が多いのですが、血糖値があまり良くない状態であったり、血糖値の上がり下がりが激しい方、自律神経障害を伴う方などに見られる現象です。

相談を受けた方は、1型糖尿病で既に何度か職場で低血糖でいきなり転倒する等事故が多い、救急車のお世話になった、そして…職業がタクシー運転手だったのです😣

これは、残念ながら道路交通法でも労働安全でもお客様の安全面からも絶対にあかんやつです…残念ながらタクシー運転は控えてもらって事務に回ることになりました。今の状態は運転免許も返納が望ましい。もし今後血糖コントロールが落ち着いて低血糖を起こさなくなり、前駆症状の自覚に回復が認められたならばまた話は変わって来るんでしょうけど…

この方、それはそれは辛いと思います。よくよく話を聞いてみたら、長い病歴にも関わらず職場に対して糖尿病についての話は一切なさっていなかたったということですし、小さい職場では労働安全の状況も厳しいですね。

 

 

NEJMの認知症と免許返納の記事にアメリカ人が激しく反応した!

さて、運転免許、、、あれ?最近どこかで聞いたよね〜と思って探したら、コレ⬇️ February 21, 2019 NEJMから 

 

”Don’t Ruin My Life — Aging and Driving in the 21st Century”

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1613342

 

どこに女医が出て来るんじゃい?と思いますが、記事を書いているのが老年医学で有名な Louise Aronson という女医さんです、それだけ(笑)ルイーズ先生は老年医学の第一人者でインタビューはこちらで見られます→https://www.youtube.com/watch?v=4I4gulH2UyU&t=162s

先生のが若い時「免許返納」を告げたら患者に診療拒否されてしまったという苦い経験を思い出しつつ、高齢者にとってその事実がどれほど重大な問題なのか、周囲はどう対応すればいいのかを記載してくださっています。曰く"Not driving wasn't simply not driving. It was a reduction of status opportunity. It would make everything more difficult for her for the rest of her life, from grocery shopping and working to seeing friends and maintaining her self respect." ちょっと問題がずれますが、この「診療拒否」が起こったのはおそらく今から30年は昔のはず。その当時の米国高齢女性の意識が日本のそれとは大きく違うことが想像できます。

 

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日本と全然違うアメリカの車社会

友人である40代後半のアメリカ人男性に「車ってアメリカの人にとってどんな存在なん?」て聞いてみたところ、案の定というか「車、それは生きていうということだ!人生そのものだ!」と力強いお言葉。確かにどんな都会に住んでいようとアメリカは巨大な国。車がなければ生活が成り立たないことも事実だし、大昔から「16歳で車を運転できるようになる」ということはすなわち「一人の人格として生きていられる」ということを意味するとか。ウワァ大げさ!と思うなかれ、彼は大真面目でした。そうね、真実なんやね。

 

 

さて、日本の高齢者は…そして「私」は?

最近私の周囲でも高齢者の運転についての話題がチラホラ。でも、日本の場合は高齢男性ドライバーの割合が高いですね。高齢女性で車必需品と考えているのはある程度田舎の方が多いかなぁ。アメリカに比べて女性の社会進出が 遅れていたこともあるのでしょう、女性にとっては免許問題はあまりクローズアップされてないかも。

 

私にとって「私から人生を奪わないで!」という叫びで象徴されるのは何だろう?

もしかしたら車の免許なのかもしれないし、、、いや、「やりがいのある仕事」なのかもしれない。私は家庭の事情&自身の体調不良のために常勤職場を辞してしばらく経った頃、「自分の人生を自ら捨ててしまった!」と激しく後悔しました。とは言っても未だにいやもうすでに人並みに働く体力は全然残ってないし、最先端の医療技術にもついていけない。まさにあの時「キラキラした人生」そのものを捨ててしまったのかもしれません。同じ女医さんでもずうっと第一線で活躍してバンバン実績を出している方もたくさんいらっしゃるのにね。そんなイケテナイ私が今現在どんな心境で生きているのか?またおいおい書いていきます!

そんなこんなでいろんなことを考えさせられたLouise Aronson 先生の記事、よかったら皆様も読んでみてくださいませ!

 

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